聖学院大学提供│携帯小説「虹色プリズム」
虹色プリズム☆第3話 [第一章「蒼夏の頃」]
◆虹色プリズム
├第一章 蒼夏の頃
└第3話
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駅前。
夏のロケ合宿に参加する緑ヶ丘高校映研部の部員6人は、部長の黒木のハイエースに乗り込んだ。
「部長、運転大丈夫ですかあ?」
翠が後部座席から冗談とも本気ともつかない顔で運転席の黒木を覗き込む。
「まかせなさい。実は免許を取る前から親父の車をけっこう乗り回していたのだよ」
この春、18歳の誕生日を迎えると同時に車の免許を取った黒木。
父親の仕事用の白い8人乗りハイエース。
もちろん車の前後には若葉マークのマグネットシールをつけてある。
「おいおいおい・・それは洒落になんないよっ」
黒木と同じ3年の岡野。映研副部長。助手席でわざとらしくリアクションをとる。
黒木と岡野は幼稚園からの幼馴染で、なにかと常に行動を共にしており、
そんなことを知らないはずがない。
「でも本当に安全運転でお願いしますよ、部長~」
いい加減な眠た声で蒼也。
「七尾おぉ、ロケというものは時間との勝負なんだよ。お前の寝坊のせいで1時間押しだ」
遅れた1時間を取り戻すために目的地までとにかく飛ばしたい、とでも言いたそうな黒木の口調。
「黒木君」
「……!」
「だめよ。ゆっ、く、り、安、全、第、一、にっ」
「分かってるよ、月森…」
ひかりが見事に釘を刺した。コンマ何秒か停滞する車内の空気。
黒木部長は月森ひかりに惚れている。
黒木以外の5人にはバレバレである。
30分ほどで高速道路に入る。
「降ってきたんですけど」
今回のロケ参加者で唯一の1年生、春川萌がポッキーを食べながら窓の外を見てつぶやく。
「通り雨だよ。前方はもう晴れてるよ」
助手席の岡野。
「見て!」
「虹だ…」
前方に出来た綺麗な虹のアーチをくぐりぬけるように6人を乗せたハイエースは目的地へ進む。
パーキングでの休憩を挟みつつ、4時間あまり高速道を走ってから目的地最寄のインターチェンジを降りる。
合宿中に消費する食料などを地元のスーパーで買い込んだ。
3桁国道をしばらく進み、さらにウネウネとした山道を登ること小一時間、
ロケハン一行は目的地の山荘へ到着した。
外観は山荘というよりも「古びた白い洋館」とでも形容するのが一番しっくりとくるその建物は、
夕刻の薄闇の中、6人を静かに迎えた。
どこかで、ひぐらしが鳴いている。
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