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虹色プリズム☆第53・54話 [第二章「銀幕の裏側で」]
◆虹色プリズム
├第二章 銀幕の裏側で
└第53・54話
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撮影最終日。
私は集合時間より30分早く川原へ向かっていた。
二人だけで話がしたかった。
思ったとおり、すでに彼女の姿があった。
草の上に座っていた彼女の隣に、黙って座った。
微笑んだ彼女は言う。
「もう10年くらいたつんでしょうか?」
「・・・そうね、私たちが出会ってから」
初対面を装ってしまったけど・・・
私たちは子供のころ、すでに出会っていた。
初めて会ったときは無邪気に嬉しかったし、私たちは気が合った。
彼女が川に落ちたあの日までは・・・。
話したいことはたくさんあったはずなのに、言葉が出てこない。
・・・お父さんは、どんな思いで彼女を見ていたんだろう。
思いつめたように口を開いたのは、彼女のほうだった。
「私・・・いなかったほうが良かったんでしょうか」
唐突だったけれど・・・
「そんな・・・」
それは、私のほうが思っていたことなのだ。
ずっと・・・
「そんなことないわ」
毅然とした声に驚いて顔を上げると。
ひかりさんが立っていた・・・
見たことがないおじいさんと一緒に。
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「おじいちゃん・・・」
おそらくその老人のことを呼んだのだと思う。
彼女・・・さくらは、びっくりしたようにそう呟いた。
「さくらさんは、木戸先生を知っているのよね」
ひかりさんが優しく微笑んで言う。
「さくらのおじいさんなんですか?」
ひかりさんへそう尋ねるとおじいさんが静かに笑った。
おじいさんは懐かしげに眼を細め、私たちのそばに座る。
「さくら、すみれ。大きくなったなぁ」
本当に懐かしそうに。このおじいさんは、私のことも知っているの?
「さくらさん。全部話してあげて。すみれちゃんは、もう知らなくちゃいけないの」
さくらの様子をうかがうと、
頼りなげな表情はまるでひかりさんの言葉がゆっくりと浸透するかのように徐々に消え、
一種の決意のようなものが見て取れた。
私が知らなくちゃいけないこと?さくらは何を知っているというの?
何から話せばいいのだろう?
母さんはずっと、一人の人を想っていた。
それが、佐藤という人。写真は3枚しかない。まだ赤ちゃんの私を、抱っこしている写真と、少し大きくなった私と川原を歩いている写真。そして、最後の一枚は、玄関の前で4歳の私を抱き上げている写真。
川原の写真は後姿だし、抱っこしている写真はどちらもブレていて顔が不鮮明だ。
でも私は、その人の顔をしっかりと覚えている。
「パパ」と呼んで追いかけた記憶がある。

優しく笑うその表情も、私の手を引く、大きな手も。
籍こそ入っていなかったけれど、私は確かに彼の娘であり、母にとっても、夫だった。
私がちょうど幼稚園に入った頃、パパは私を遠くの町へ連れて行った。
電車に乗ることなんてあまりなかったから、私は遠くだと感じたのだけれど、今思えばたったひと駅。
私はそこで、すみれちゃんに会った。
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