聖学院大学提供│携帯小説「虹色プリズム」
虹色プリズム☆第27・28話 [第二章「銀幕の裏側で」]
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◆虹色プリズム
├第二章 銀幕の裏側で
└第27・28話
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「気持ちいい!草の香りも、久々な気がする~!」
川原の草原の端に座った途端、私は思わずそう叫んで背伸びをした。
そんな私を見て、翠は心底面白そうに笑う。
「何言ってるんですか。ついこの間、木と草に囲まれた山荘で合宿したじゃないですか」
しばらく、私と翠は映画談議や新学期と共に始まる実力テストのことを喋った。
途中お茶を飲んだり、私のかばんにいつも入っているクッキーなどを食べつつも、延々止まりそうもなかった。
コンクールに向けたシナリオ作りと、模試のスケジュール、入試。
そのことだけで埋め尽くされていた私の日常で、ほっとひと息つけるひと時だった。
大空を 自由に鳥たちが 光の中 飛びかうように
そんな私たちの耳に、聞き覚えのある歌詞とメロディが流れてきた。
思わず辺りを見回す。声の主は・・・?
夜空から こぼれた星屑が 波の上を滑るだろう
・・・私たちより数十メートル離れた場所。橋の真下辺りに2人の女の子がいて、その子達が歌っているようだった。
「・・・あれ?すみれちゃんかも」
私が思わずそう呟くと、「すみれちゃん?」と翠が不思議そうな声で聞き返した。
「ほら、七尾君の妹さんよ。合宿中、電話が掛かってきたでしょう?」
ああ、と小さく頷くと、翠も目を凝らして、女の子の顔を確かめようとする。
tomorrow tomorrow・・・
そこで歌は途切れた。すみれちゃんらしき子が、首を傾げて手元の白い紙に視線を落としている。
私たちは声を掛けてみることにした。
+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・
「すみれちゃん!久しぶりね」
私がそう声を掛けると、すみれちゃんは振り返り、怪訝な表情をこちらに向けた。
「あの・・・どなたですか?」
硬い表情のまま、女の子は私にそう聞いた。
だがその顔はどう見てもすみれちゃんである。
強いて言うなら、いつもはヘアバンドをしているのに、今日はヘアピンで髪を留めているところだけが違う。
「七尾すみれ・・・さんではありませんか?」
驚きに妙な言葉遣いになってしまった。他人の空似?まさか。
女の子は用心深いまなざしのまま、小さく首を振った。
「私たち、隣の町から来たんです。練習できるところがあまりないから・・・」
もう1人の女の子が笑顔でそう言ってくれた。
「・・・ごめんなさい。人違いだったみたい」
恥ずかしながらそう言うと、すみれちゃんに似た子も少し笑って、「気にしないでください」と言ってくれた。
もう一度謝ってから、私たちは帰ることにした。
橋から家までは、当然すみれちゃんのソックリさんについての話である。
「本当にそっくりなのよ!目が大きいところとか、髪型も、みんなそっくり!」
熱く語る私に、翠は困ったように頷いた。
「人間って、この世に3人、そっくりな人がいるらしいですから、そうかもしれませんよ」
本当にそうなら、すみれちゃんに教えてあげたい気がする。何だかドキドキ、わくわくすることだもの。
「ドッペルゲンガーかもしれませんけどね」
翠がニヤッと笑った。
「ドッペルゲンガーだと、本人と会っちゃいけないのよね」
確かそうです、と翠は頷く。
「でも隣町なら、うっかり会っちゃいそうよね」
思わずため息をつく。名前くらい聞いておけばよかった。せめて中学校名とか。
「また会えますよ。すみれちゃんより早く、私たちが会えばいいんです」
翠の口調はどことなく頼りになる。なぜかは分からないけれど。
翠は、人を安心させるタイプの人間らしい。
湿気を含んだ生温い風が頬をなでていった。
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