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【The 聖学院物語】 パンフレットには載っていない物語を掲載

卒業生が姜尚中先生の小説『心』をレビュー【その2】 [卒業生]

投稿日時:2013/05/20(月) 18:00

【その1】に引き続き、聖学院大学全学教授 姜尚中先生が執筆された小説『心』について、卒業生で作家の木村綾由子さんからのレビューをご紹介いたします。

姜尚中先生の小説『心』レビュー【その1】は こちら から


姜尚中『心』レビュー② 真剣に考えさせられる作品

テーマは非常に重い。
しかし、それを手紙やメールというツールを使って物語に広がりを持たせているので、スムーズに読めます。

登場人物が実に個性的で、メールの文章の中からはっきりとキャラクターが3Dのように浮かび上がってきます。
特に、主要人物の直広、与次郎、萌子は手に取るように、その人物像が頭に思い浮かぶのです。

しかし、震災後の描写や主人公の直広が遺体を引き上げる描写などは心を締めつけ、喉の奥が熱く詰まるような感覚に襲われました。
その描写があってこそ、本書のテーマが引き立つ。そして、直広が「死」についてある回答を出したとき、心に穏やかさが戻り、喉の奥にも冷たい息が通るようになり、つっかえがとれます。

最後まで読んでいくと、何故、「心」というタイトルでなければならなかったのかがわかります。
読み終えた後、深く「生」について「自分」について考えたくなる本です。
この本を読むときは是非、用事は全て終わらせて、後は寝るだけ、という段階で一気に読んでもらいたい、そんな本です。
真剣に「生」「死」「自」について思いをめぐらせながら眠りに落ちるのも、たまにはいいものです。
それでは、「末永く、元気で」


■参考
姜尚中著『心』 amazonサイトは こちら から