聖学院大学提供│携帯小説「虹色プリズム」 2008/12
虹色プリズム☆第45・46話
[第二章「銀幕の裏側で」] 投稿日時:2008/12/22(月) 08:00
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◆虹色プリズム
├第二章 銀幕の裏側で
└第45・46話
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北緑中学合唱部の女の子は「風見 さくら」というらしい。映画の話に乗ってきたが、
その聞く時のしぐさもすみれにそっくりだ。
遠くから見て兄弟である俺が間違ったのだからよく似ている。顔立ちも持っている雰囲気もそっくりだ。
といっても双子というほどではもちろんない。
中学生くらいの女の子は急に変わるので毎日顔を会わせている家族でなければ、
確かにすみれと間違えるのは無理はない。
違うとするとすみれが花だとするとさくらはその影のような感じがするところだ。
それにしても、こんな近くの町に同じ年齢の子がいるなんて不思議な話だと考えているとき、ふとある考えが浮かんだ。
「父が生きているのではないか。」
そう考えれば説明がつく気がした。
しかし、残念ながら父の死は間違いのない事実だし、さくらさんがすみれと同じ歳ということは不可能だ。
そうなるとかんがえられることは、父が生きているときに母以外の女性との間に子供がいたということだ。
もちろん、それはさくらさんが俺の異母兄弟だとしての話になるなので、ひかりに話せばきっと大笑いするに違いない。
そんな馬鹿げた妄想はすぐに頭から消えた。
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とにかく、すみれによく似た少女の出現は俺にとって衝撃であった。
静かに確実の俺の中に波紋を広げつつある。
このことは今一つ見えていなかった映画のシナリオには大きなヒントになった。
このことは電話して急いでひかりに話したかったが、ぐっとこらえた。
完璧なものにしてから話すことにした。
しかしジグソーパズルの重要なピースが見つかったのは確かだった。
それにしても川の中に入るすみれのイメージを俺に見せるというのはなんなんだ。
山荘の時は先輩のたくらみというか浅はかな人間の考えたことであったのだが、今回は明らかに違う。
見えざる何かが、何か起こそうとしている。
「運命」ということばが浮かんだ。ヒントをもらったのは確かだが、これを料理し作品にしていくのは俺だ。
ということは料理の次第によってはくだらないものにもなってしまう。
目に見えない者からのプレゼントであると同時に挑戦でもあるのだ。
水車小屋でこっちにおいでよと誘う少女のことがストーリーとして見えてきたのだ。
俺は次第に死んだ父親のことを意識し始めていた。そしてその死の真相にも迫る決意を固めつつある。
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虹色プリズム☆第43・44話
[第二章「銀幕の裏側で」] 投稿日時:2008/12/15(月) 09:00
◆虹色プリズム
├第二章 銀幕の裏側で
└第43・44話
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「風見・・・って?すみれじゃないのか?」
七尾くんは当然、困惑していた。
あたりまえだと私だって思う。あの日の帰り道、ひかりさんの携帯電話に入っていた写真を見せてもらったけれど、
まさしくこの、風見と名乗る女の子とそっくりだもの。
「七尾くん。あのね、私とひかりさん、最後のミーティングの帰りに、この・・・風見さん?に一度出会っているの。ね?」
風見さんはコクリと頷く。
「ひかりさんも、すみれちゃんと間違えて声を掛けたんだけれど・・・。他人の空似ってあるのね」
風見さんはまだ青ざめた顔のまま、少しぼうっとした感じだ。
一方の七尾くんは、目を丸くしたまましげしげと風見さんを眺めている。
「あのぉ。すみれって誰なんですかぁ?」
ビデオを回したまま近づいてきた萌ちゃんが、間の抜けた声で質問をした。
とりあえず風見さんには濡れてしまった靴下をぬいでもらい、撮影セットにいつも入っているハンドタオルで水分を拭き取りつつくるんだ。ぬいだ靴下は自転車のかごの中で多少でもと乾かしている。
「靴が片方ないとなると・・・。家は遠いんですか?確か隣町って言っていましたよね?」
私が少し落ち着いた風見さんに尋ねると、少し困ったような顔で風見さんは頷いた。
「電車で1駅なんですけど、駅からが結構あるんです」
ここから駅までも、裸足で歩くには結構あるし・・・。
「あ、じゃあ、私の上履き使っていいですよぉ」
萌ちゃんがにこやかに提案した。

「上履き?」
七尾くんが聞き返す。
「はい。さっき見たら、風見さんの足のサイズ、22でした。私と同じなんですよぉ。自転車ありますし、ここからなら5分くらいで行って帰ってこれます」
にこぉ、っと笑いながら説明する萌ちゃんは、なんだか嬉しそうだ。
「でも、そうしたら明日の学校はどうするの?」
「大丈夫ですよぉ。もう、ストックが買ってあるんですぅ」
やはりなんだか嬉しそうだ。
「靴下だけで帰るよりは、上履きでも履かないよりはいいでしょ?」
にこっと萌ちゃんが風見さんに聞くと、風見さんは申し訳なさそうに「でも、そんな上履きまで貸していただいては・・・」と、蚊の鳴くような声で呟いた。
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失礼ではあるけれど、大空に溶け込むようにあの曲を歌い上げていた人物とはとてもじゃないけれど思えない。
「そうなんだ。あの時の友達と待ち合わせをしていたのね」
萌ちゃんが上履きを取りに行っている間、私と七尾くんは風見さんと雑談をしていた。
「ええ。来月の合唱コンクールに向けて、練習をみてもらっていたんです。あの・・・私だけが、下手
だから・・・」
なんだか、訥々(とつとつ)と話す子だな、と私は思っていた。あんなにのびやかに、上手に歌っていたのに・・・。
「もしかして、北緑中学?合唱部が有名な」
風見さんは少し驚いたように七尾くんの方を見て、「そうです」と小さくうなずいた。
しばらく七尾くんと風見さんの話がはずみ、私はあまり話に入って行けなかった。少し生き生きと話す風見さんと七尾くんは、本当に兄妹のように見える。
萌ちゃんが出発してからゆうに10分は経った頃、風見さんが急に気がついたように「そういえば、皆さんは何をしていたんですか?カメラとかいろいろ持って・・・」と聞いてきた。
「私たちは映画研究部なの。映画を自主制作して、コンクールに出品するのよ」
きらりと、輝く瞳を私に向ける。
「映画?映画って、特別な機械がなくても作れるんですか?」
うーん、と七尾くんが唸る。
「学校にそういう機械がある場合もあるだろうけど、うちの高校の場合は、ちょっといいパソコンとソフトを使うくらいだよ。あとは綺麗にとれるビデオカメラがあれば作れるんだよ」
風見さんはさらに瞳を輝かせていた。
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虹色プリズム☆第41・42話
[第二章「銀幕の裏側で」] 投稿日時:2008/12/08(月) 08:00
◆虹色プリズム
├第二章 銀幕の裏側で
└第41・42話
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動揺を突かれた俺はとんでもない球を返してしまった。
「別に…。」
このことばにあかりが静かに切れた。
「先輩に対して別にはないでしょ。受験勉強しなきゃいけないのに、シナリオひとつまともに仕上げられないあなたのためにわざわざ付き合ってあげてるのよ。どうせ深雪さんとふたりでやりたかったんでしょ。」
まずいよ、このままじゃ。深雪さん、頼む。
「蒼也くん、別に、はないでしょ。ひかりは君と二人っきりで会うのを心配してついてきたんだから。」
うぅ、ますますまずい。勝ち気なひかりには絶対いっちゃいけない一言だ。
「別にはシャレですよ、ほら」
「月森さんにはすごく感謝してます。今回のシナリオのことでも、いろいろ教えてもらったし。もともとひかり、いや月森さんとの話しからあらすじはできてきたわけだし。」
「へぇ、そうだったの」
深雪さんがうれしそうに返してきた。俺のことを挑発してるのかとドキドキしたが、そうでもなさそうだ。
「というか、一番大事な伏線となっている小さい頃のエピソードは月森さんの話しがヒントになってるんだから」
ちらっとひかりを見た。さっきまで尖がらせていた口は、少し微笑んでいる。なんとか危機は抜けたようだ。
「あぁ、あのとこね、私も実は少し気になっていたのよ。たしかに伏線にはなっているけどね。」
「そうなんですよ。自分で書いていて何か自分のものになっていないというか、感情移入ができてないという感じかな。」
「ひかり、聞いたでしょ。シナリオの完成にはあなたの協力が必要ね。というか最初からふたりは協力していたわけね。」
「ちょっと話しただけです。それを勝手に蒼也くんがいれただけで」
ひかりがちょっと照れて答えた。
「でも、あのエピソードがあるからおもしろいのも事実ね。すこし蒼也のものになっていない感じもあるけどね。いずれにしてもふたりが一緒に作業しないと完成しないことはたしかね。ひかりも受験勉強が大変なのはわかるけど、ここはひとつ映研のために時間とってよ。」
深雪さんの勢いに俺もひかりも押されるように答えた。
「はい」
「これでよしと。じゃあ送ってくよ。」
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実力テストが終わり、このところ続いた長雨も、私たちの心を映すかのようにからりと晴れた。
今日からロケが始まる!
邪魔な黒木も岡野ももういない。
私、春川萌の時代が来るんだわ!
ひかり先輩は後で様子を見に来るらしいけど、それはそれでいいか。
私はメイキングビデオの撮影に専念できるし。
そんなことを思いながら虹の橋につくと。
岸辺に女の子がいて、ぼんやり濁流を眺めていた。
中学生くらいだろうか。ちょっと絵になる光景だけど・・・。
七尾先輩は、驚いた顔をして女の子に近づいていく。
・・・ちょっと可愛いからって、私と翠さんを差し置いて他の子に目を奪われるなんて。
これだから男は信じられない!
むかつきつつ私はカメラを回す。
後でひかり先輩にも見せてやることにしよう。

「すみれ!何でこんなところにいるんだ?」
女の子は七尾先輩の勢いに気おされたのか後じさった。
そのとき、足元の土が崩れた。
少女の体がぐらりと揺れ、水かさの増した濁流の中へ・・・!
あわや、のところで七尾先輩の手が彼女を掴んでいた。
慎重に、引っ張りあげる。
「大丈夫か?」
安全なところまで移動して七尾先輩はそう聞き、青ざめた女の子は無言で頷いた。
しかし靴は片方流され、靴下はずぶ濡れ。スカートにも泥がついている・・・。
真剣な面持ちで近づいた翠さんが女の子に妙なことを言った。
「あなた・・・七尾さん?それともこの前の・・・?」
七尾先輩も怪訝な顔をしている。
女の子はようやく口を開いた。
「私・・・風見といいます」
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虹色プリズム☆第39・40話
[第二章「銀幕の裏側で」] 投稿日時:2008/12/01(月) 08:00
◆虹色プリズム
├第二章 銀幕の裏側で
└第39・40話
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私の目に狂いはない。と思う。
七尾君の方はいまいち確信が持てないけれど、ひかりの方は間違いなく七尾君が好きなはずだ。
七尾君に映研の話をしたいのは本当だけれど、実は他の部員のいないところでの二人の様子を見たいという気持ちの方が大きかったりする。
スケジュール的にも、今の時期を逃すと、こんな風に遊んでいられる時間はもう無いんだから。
あぁ!わくわくしてきた!!
・・・
あれ?携帯が鳴ってる。今日は休みだから、会社の人じゃないはず・・・
と思ってサブディスプレイを見たら、今切ったばかりのひかりの名が表示されている。
「もしもし?キャンセルは無しよ」
思わず笑いながら、素早くそう言うと、心なしか暗い声でこんなことを言われた。
「先輩。七尾君や私の家からだと、先輩のマンションまで、1時間弱かかりますよ」
「・・・えっ?」
「車なんて持っていないですから。電車だと、ぐるっと大回りになるんです」
「しまった・・・」
私としたことが、車に慣れすぎていたわ。
「もしできるなら、先輩、車で迎えに来てもらえませんか?」
「あ、そうね。オッケー♪じゃあ今から行くわね。近くまで行ったらワン切りするから」
結構テンション高く言ったのだが、微妙に暗いひかりの声は変わらない。
「お願いします。あと、七尾君にも連絡しないと」
「さすがひかりちゃんね。すぐに連絡するわ」
そっかぁ。じゃあ、その辺のファミレスか喫茶店で話すって言うテもあるわね。うちに呼べないのは残念だけど、ひかりを呼ぶならうちである必要も無いし。
さらにわくわくしてしまう。
ただひとつ心配なのは、私って映画のこととなるとついつい語っちゃうから、二人の仲を近づけるのを忘れちゃう気がするんだよなぁ・・・。まぁいいか。
私は携帯電話の発信履歴から、5分前に掛けた、七尾君へともう一度電話をした。
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「蒼也くん、ひかりのことどう思ってるの」
いきなりの深雪さんの直球である。
男として情けない。
いや、これは間違い、男として情けないのではなく、男とは情けないである。正直にいうが深雪先輩と二人っきりで会えると思うと胸が高鳴った。すみれにも悟られるくらいそわそわしてしまった。
深雪先輩はいつも明る活動的。映画のことがだいすきで就職も不安定な小さな映画会社に入った。
女性としては魅力的なのだが映画に青春を賭けるという姿勢は同世代の男性たちには近寄りがたい雰囲気をもっていた。
後輩たちからは姉き分んとして慕われていた。
だからこれまで女性として考えたことはなかった。映画のこと、とくに俺にとっては初めての経験であるシナリオ書きのよき相談相手だったわけで、みんなと一緒の時には尊敬する先輩でしかなかった。

だから,..正直、ふたりだけで会わないかといわれるまで、自分の気持ちに気がついていなかった。
それが家を出る時の俺の昂ぶった気持ちの正直なところだ。それをすみれに見事に見透かされたわけだ。
ところが会いに来てみると先輩の部屋でお茶を飲みながらという話がいつのまにかファミレスになっている。しかも月森先輩、いやひかりまで一緒。
二人はいきなり資料を取り出し映画の話し始めるし、撮影場所をどうのとすっかり入り込んでいる。
俺はといえば、妄想が妄想に終わったことへの失望と予想していなかったひかりの登場に少なからず動揺してる。
別に悪いことをしたわけではないのにすっかり魂胆を見抜かれたようでバツも悪い。
そこにいきなりの深雪さんの直球である。
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12月6日(土)
ミニオープンキャンパス開催決定!!
10:00~15:00
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+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・+・
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